【Column】Column 004 クロスミントン 〜マイナースポーツの軌跡〜

ラケット界の二刀流 バドミントン&クロスミントン
〜日本から世界への挑戦〜


田中瑞樹選手(クロスミントン日本ランク1位2018.8.26取材時点

 


小学校4年生の時に友達に誘われてバドミントンを始めた。友達とは何気なく始めたが、お互い仲が良かったこともあって今でも切磋琢磨している。

ずっと続けるうちにだんだんと実力もついてきて、昨年2017年の全国大会ではベスト64(過去何度かベスト32までは行っていた)にランクイン。ただ、それ以上には上がれない状態が続いていた。

 

「上には上がいる」

 

 

 

この時すでに、世界の壁を感じ始めていた。

 

 

 

 

仲間


そんなある日、突然体が動かなくなってしまった。

 

腰椎分離症という病気を発症してしまったのだ。

腰椎分離症...一般的にスポーツのしすぎで発症するもので、長期の経過観察を要する

 

 

 

「こんなに頑張ってきたのに。。。」

 

 

 

病院から退院後、ひとり田中選手が物思いにふけっていると、そこにはバドミントンの仲間が自然と駆け寄ってくれた。

 

「軽度の運動ならできるみたいだから一緒にまたやろうよ!」

「諦めるなよ」

 

仲間が自分を励まそうとしてくれているのが、痛いほどわかった。

 

 

 

「まだ頑張れるかもしれない。。。」

 

 

 

それからというもの整体の先生の指導のもと、死に物狂いでリハビリをしていった。それはもうこれまでのトレーニングとは比にならないほど辛いものだったが、仲間の声を信じて必死に続けた。

 

 

 

そしてついに克服し、競技選手として再び動けるようになったのだった。

 

 

 

 

クロスミントンとの出会い


バドミントンに復帰してから練習をしていた時だった。コーチが新しいスポーツがあることを教えてくれた。

 

それが、クロスミントンである。

実はバドミントンで活躍している他の選手の中にもクロスミントンを経験している人がいることを知り、早速始めることにした。

 

 

 

クロスミントンってどんなスポーツ?

2002年ドイツ発祥。テニス、バドミントン、ラケットボールそれぞれの良さを融合させた、新しい次元のラケットスポーツ
他のラケットスポーツと大きく異なる点は、様々な場所や条件下でのプレイが可能な事です。

スピーダーと呼ばれるバドミントンのバーディー(シャトルコック)を小型化したような形状のものはプレイスタイルや状況に合わせ3種類のタイプが用意されています。

基本的にコートは5.5m四方のものが二つ、12.8mの距離を空けて設置され、そのコート内にプレイヤーが立ちます。お互いにラケットでスピーダーを打ち合い、1セット16点で競います。2セット先取で勝ちというルールが一般的

トップの選手ともなると、スマッシュの速度は時速280kmを超えることも?! 動体視力を鍛えられるかもしれない

 

 

頂点へ


クロスミントンに出会ってから色々と景色が変わっていった。普段の練習比率は7:3でバドミントンの方が多いが、双方にいかせることが増えていったのである。

田中選手が感じるクロスミントンとバドミントンの違いは2つ。

 

 

球が直球的にくること

ネットがないため自分を守ってくれるものがないこと

 

 

 

それらの違いをうまくトレーニングにも活かしつつ、田中選手はクロスミントン界で徐々に頭角を表すようになった。来る日も来る日もトレーニングを積み重ねていった。

 

そして今年、見事に日本ランキング1となったのだ。2018年8月26日取材時)

 

 

「バドミントンでは叶わなかったけど、常に上を目指していましたから」

 

 

 

素晴らしい快挙である。自身の得意分野を開拓し、常に前進した結果ではないだろうか。

挫折を経験しているからこそ成し遂げたものなのかもしれない。

 

 

クロスミントンの醍醐味まとめ


1.思い切ってスマッシュを打つ姿勢が身につく(ストレス発散)

2.スピードが速い!(体感速度はバドミントンの1.5倍ほどに感じられる)

3.ネットがない!(障害物がないので、ダイレクトに勝負できる)


 

 

 

もっとクロスミントンについて知りたい方は、田中選手へ

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今の目標とやりたいこと


 

 

今の目標は「2019年ハンガリーで行われる世界選手権で上位に入ること」

 

次回ハンガリー大会に向けて必死に練習をしている。ドイツがクロスミントン発祥の地でもあり、国内での競技としても盛んなスポーツとなっているが、本場西洋の国で優秀な選手との接点を持てることは、田中選手にとってもこの上ない経験となることだろう。

ちなみに2018年に行われたドイツオープンに出場し、予選で世界ランク8位のKAKURA Adam選手(SVK)に勝利し、結果は17位となった。世界の壁はまだまだ分厚いようだ。

また、自身の課題克服に向けて、他競技(スカッシュやテニス)の選手にアドバイスをもらったり、海外の選手に聞いて日々研究を重ねている。

前方でのドライブは、やはりスカッシュやテニス経験者の方が勝ると田中選手は語る。

 

 

また、今後は周りの人にもクロスミントンのことをもっと知ってもらいたいとのこと。

 

 

初心者でも楽しめるスポーツなので、是非ラケットを握って一緒に楽しめたらと思っています。

 

 

 

 

終わりに


クロスミントン自体は2002年に生まれたまだ比較的新しいスポーツだが、日本でも世界大会が開催されるなど協会側の動きが積極的な競技である。

また、現在は世界大会に出場すると世界ランキングポイントが付与されるため、一般の参加者でも気軽に楽しみつつ、世界ランキング〇〇位といった競技者としてのステイタスにもつながりやすい仕組みとなっている。

自身の可能性を広げたい方は是非トライしてみては?!